アメリカの推理小説作家サラ・パレツキーの「女私立探偵V・I・ウォーショースキー」シリーズ15作目『ウィンター・ビート(Body Work)』。
前作『ミッドナイト・ララバイ(Hardball)』に続いて従妹のペトラが登場。もうじき50歳になるとは思えないタフでクールな女探偵ウォーショースキーが活躍。
シカゴで評判のナイトクラブ<クラブ・ガウジ>で女性が射殺されたところから物語ははじまります。
あらすじ:
従妹のペトラが働くナイトクラブは、前衛的なボディ・ペインティングのショーで人気の店だった。だが、店を訪れたわたしはそこに危険な空気を嗅ぎつける。不安は的中。常連客の女性が店の裏で射殺され、容疑者として帰還兵の若者が逮捕されたのだ。息子の無実を信じる父親の依頼で調査に乗り出すわたしは、知らないうちに底知れぬ闇に立ち向かうことに……巨大な敵を前にしても、V・I・ウォーショースキーは挫けない!
引用元:ハヤカワ文庫『ウィンター・ビート』
状況証拠は容疑者の青年が犯人である可能性が高い。しぶしぶ父親の依頼を引きうけたヴィクが調査を進めていくと、背後に別の問題が潜んでいて……。「ウォーショースキー」シリーズおなじみの展開。
卓越した洞察力で謎を解いていくというよりは、地道な捜査で事件の糸口を見つけていくスタイル。偶然にたよりすぎている点は否めませんが、そこまで気になりませんでした。むしろハードボイルド小説らしいとさえ思えました。肉体は衰えてもタフな女探偵は健在です。
ヴィクの恋人ジェイクのセリフですが、「スノッブ」は最近じゃあまり聞かないことばですね—―スノッブなこというなよ、ヴィク(作中引用/p34)
意:知識や教養をひけらかす鼻持ちならない人。俗物。
著者:サラ・パレツキー
訳者:山本やよい
出版:早川書房(ハヤカワ文庫)