【ローレンス・ブロック】殺し屋ケラー『殺し屋(HITMAN)』

ハードボイルドの最高峰「マット・スカダー」シリーズのローレンス・ブロック。

今回紹介するのは、プロの殺し屋ケラーが主人公のシリーズ1作目『殺し屋Hit Man)』。MWA賞(最優秀短編賞)受賞の連作短編集です。

 

あらすじ:
ケラーの今回の標的はテキサスの大富豪だった。ケラーは下見のため、当の富豪が主催するガーデン・パーティにもぐりこむ。だが、富豪の孫がプールで溺れかけているのを目撃し、やむにやまれず助けたことから、事態は思わぬ方向へ……。MWA賞受賞作の上記「ケラーの責任」をはじめ、同じくMWA賞に輝く「ケラーの治療法」など、孤独な殺し屋ケラーの冒険の数々を絶妙の筆致で描く連作短編集!

引用元:二見文庫『殺し屋』

 

主人公はプロの殺し屋ケラー。他人の人生に幕を下ろすのが彼の仕事。こう聞くと、どんな男をイメージするだろう。冷酷非情な男?そんなことは全くありません。

殺しに出向いた街が気に入って本気で引っ越しを考えたり、気まぐれで犬を飼ったり、切手を蒐集したり。平凡な考えを持つ孤独な中年男。”殺し屋”という職業をもつ主人公に、ここまで感情移入できてしまえるとは思えませんでした。

アル中の探偵や泥棒といい、著者ローレンス・ブロックの人物造形はさすがと言わずにはいられません。また仲介役のドットがとても魅力的。

本書は短篇集ですが、一編ごとに次作へとつながる仕掛けになっています。孤独な殺し屋ケラー。彼の人生を切り取ったような味わい深い物語は、きっと読むものの心をつかむことでしょう。

 

Amazon: 殺し屋 (二見文庫)

著者:ローレンス・ブロック
訳者:田口俊樹
出版:二見書房(二見文庫)

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